寒い季節に 紅茶ポリフェノール

近年、健康や美容をサポートする成分として注目されている「ポリフェノール」。
食品に含まれる大切な機能性成分として広く認識されるようになってきました。特に、緑茶のポリフェノール成分カテキンは、いろいろな生活サポート機能が知られていますね。 
ところで、お茶としては世界中で緑茶よりも圧倒的に飲まれている紅茶にもポリフェノール成分はたくさん含まれています。ただし、紅茶ポリフェノールは緑茶のカテキンに比べて成分や構造が複雑なため、機能研究は発展途上。三井農林は、日本の紅茶のパイオニアとして、紅茶ポリフェノールの機能研究に力を入れています。

紅茶ポリフェノールの特徴

紅茶の中に含まれるポリフェノールとして有名なのは、2個のカテキンが結合した「テアフラビン類」、さらに複雑な未解明の成分の集合体として「テアルビジン」があります。
★色・・・紅茶のきれいな「オレンジ色 」を生み出します。
★味わい・・・紅茶の味に深みを持たせる「渋み」は紅茶ポリフェノール由来です。
★紅茶ポリフェノールの機能・・・カテキン同様に、抗酸化作用によって他の成分が酸化されるのを防ぎます。詳細は「三井農林 お茶科学研究所HP」をご覧ください。

紅茶の製造方法と紅茶ポリフェノール生成との関係

紅茶ポリフェノールはどのようにして作られているのでしょうか?
紅茶は、緑茶の原料と同じチャノキ(Camellia sinensis)という植物の葉を加工して作られます。紅茶の製造では、まず、生葉を摘んだ後、葉が萎(しお)れて柔らかくなるまで置いておきます(萎凋:いちょう)。次に、揉捻(じゅうねん)と呼ばれる工程では、葉が揉まれることにより細胞が壊れ、生葉の細胞内にはペルオキシダーゼという酸化酵素が生葉全体に行き渡りカテキンと出会います。そして、酸化発酵と呼ばれる工程では、酸化酵素の働きによってカテキン同士が結合する酸化重合という反応が進み、紅茶ポリフェノールが作られます。

このように、人間は茶が本来持っている酸化酵素という自然の力を引き出し、利用することによってポリフェノールの構造を変化させ、カテキン類が酸化重合した「紅茶ポリフェノール」を作ってきました。

茶葉・産地による紅茶ポリフェノールの違い

紅茶ポリフェノールには、生葉に含まれていたカテキン類、「テアフラビン」という赤橙色のポリフェノール、「テアルビジン」と呼ばれるポリフェノールの複合物等が含まれています。
紅茶は、産地によって品種、製法、酸化発酵の程度が異なります。そのため、紅茶ポリフェノールを構成する成分の比率にも違いがあり(図2)、各紅茶産地によって特徴的な香味や水色を呈するようになります。例えば、ヌワラエリヤは発酵度が浅いため淡く明るいオレンジイエローの水色を呈し、緑茶にやや似たすっきり爽快な渋みがあります。ウバは、明るく赤みのあるオレンジ色で、刺激的な渋味がある力強い味わいです。ケニアは、湯を注ぐと直ぐに色が出て、赤みが強い鮮やかな水色が特徴です(図3)。

  • ヌワラエリヤ
  • ウバ
  • ケニア
図3 紅茶の発酵度による水色の違い
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